nicona's note.

- フリーランス・グラフィックデザイナーのつれづれBlog -

*ミッフィー展から感じたこと*

一ヶ月ぶりの更新となってしまいました。5月は月初めがGWなので、そのあとのリズムを取り返すのに時間がかかってしまいます(と、言い訳してみたり)

さて、この間にもいろんな友達に会ったり、仕事の打ち合わせをしたり、いくつかの展示にも足を運びました。その中で、印象的だったミッフィー展にて、感じたこと、考えたことを今日はお話ししたいと思います。

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 グラフィックと向き合うこと

生誕60周年を記念したミッフィー展が、4月15日~5月10日、松屋銀座で開催されました。私が行った日も、小さな子供から若いカップル、初老のご夫婦など、老若男女問わず多くのお客さんで賑わっていました。 展示の内容は、作者のディック・ブルーナさんの原画やスケッチ、作業風景の映像など。他にも、有名クリエイターによるユニークなミッフィー像や、アニメーションに使用されたジオラマなど、興味深い作品が小さな空間にギュッと凝縮されていました。

 中でも、私はブルーナさんの制作する姿や、その手で作られた原画に魅入ってしまいました。あの洗練された一本の黒い線が、ゆっくりゆっくり、何度も筆を運んで描かれていること。絵本の1シーンのために、何枚も何枚もスケッチを繰り返していること。その場面の登場人物の気持ちを、もっとも効果的に伝えるための配色を考え抜いていること。

その筆跡がのこる原画やスケッチを前に、私は泣きたいような、悔しいような、なんとも言えない気持ちでいました。それは、同じグラフィックデザイナーであるブルーナさんの、グラフィックに純粋かつ真摯に向き合う姿勢に、改めて感銘を受けたからに他なりません。

自分はどのくらい真剣に、愛を持って物を作れているだろうか。

それを問い直す機会となりました。

もう一度、純粋な気持ちで

それから数日、なんだか落ち着かない心持ちで、展示のお土産コーナーで購入した”ファースト・ミッフィー”のフィギュアを眺めていました。会社にいた頃には、日々短すぎる期限の中で、形にすることを第一に仕事をしてきた気がします。もちろん、その中でのベストは尽くして、なんとか素敵なものにしようと、仲間と励んだつもりでいます。

しかし、フリーとなった今、 はたして自分の価値はそこにあるのだろうか。
スピードとクオリティのバランスを取って仕事をする。
それだけでいいのだろうか。

せっかくフリーになったのだから、どうせなら「この人に頼みたい」という仕事をしていきたい。そのためには、もう一度、純粋な気持ちで、自分がかっこいいと思ったり、ときめいたりするものを、見つめないといけない時期なのではないかと感じました。

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ありがたいことに今、私を信頼していただいて頂戴したお仕事を進めています。熟考するための時間もいただけています。依頼してくださった方々に、本当に喜んでもらえる仕事をするために、まずは焦る気持ちを抑えて、じっくりと制作に向き合うことを心がけて…。心を込めて、丁寧に作っていきたいと思います。

今回はちょっと重めな内容でした(笑)じつはこれを書くのに、一ヶ月もの気持ちの整理を要したのでした。ここまで読んでくださってありがとうございました!

ではまた、にこっと笑顔でお会いしましょう。