nicona's note.

- フリーランス・グラフィックデザイナーのつれづれBlog -

*1∞ ミナカケル展へ*

暑い暑い5月を過ぎ、もう6月ですね。季節感がちょっとおかしい最近の日本ですが、私は手ぬぐいで四季の柄を取り入れたりして楽しんでいます。

身につける衣服や、そばに置く小物など、愛おしく感じる「もの」は生活を心豊かにしてくれます。ファッションブランドのミナ・ペルホネンは、丁寧で心をみずみずしくしてくれるもの作りで、国内外に多くのファンがいます。そんなミナの20周年を記念する展示が、青山のスパイラルで開催中とのことで、暑さもやわらいだ夕暮れ時に訪れてみました。

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"情熱のリレー"

若い女性を中心に、多くの方で賑わう会場内には、そこかしこにデザイナー皆川明さんの言葉がちりばめられています。その言葉を辿りながら、ミナの服や生地を見るにつけ、手仕事の量に圧倒されます。

中で最も惹かれたのは、ミナの服が着想され、生地ができて服に仕立てられ、お客さんの手元に届くまでを追った映像作品でした。アトリエ、工場、ショップの3つの1日を淡々と映し出すスクリーンの前には、皆川さんの言葉が添えられています。その中にあった「情熱のリレー」という言葉。その意味が、映像の中のデザイナー、アシスタント、工場の職人、ショップの店員達の、真剣な表情と丁寧で力強い手さばきから伝わってくるのです。

どこで途切れても人を魅了する商品にはならないーそんな「情熱のリレー」は、毎日毎日つながっていくんだということを感じました。

強く強く想像すること

展示の最後には、皆川さんの将来の夢が文章で綴られています。それは「宿」をつくること。驚くのは、その構想の具体性です。どんな場所に、どんな建物で、どんな食べ物を、どこから仕入れて、どう提供するのかーそして、そこを訪れた人達にどんなことを届けたいのか。隅々まで想像を羽ばたかせ、書かれています。

私はこの強く強く想像する力こそ、ミナの源泉なんだと感じました。心の原風景のようだけど、とても新鮮に輝くテキスタイルの数々も、作った人の深い想像の世界が生み出している。そのことが、展示された沢山のスケッチや、添えられた言葉からも伝わります。

自分の中に潜む物語を、丁寧に大切にすくいあげて作られるものの魅力。それを多くの人が感じ取っているからこそ、ミナは20年間、そしてきっとこれからも愛され続けていくのでしょう。

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コンパクトな会場ながらも、この企画にかける想いがぎゅっと詰まった展示でした。まわりで見ている人たちは、どんなことを想像しているのかな?なんて、ちょっと立ち止まって見回したりしてしまう、心弾む時間となりました。

ではまた、にこっと笑顔でお会いしましょう。